キムス・ゲーム(英: Kim’s Game)は、観察力と記憶力を養うことを目的としたシンプルで効果的なゲームです。このゲームの名前は、イギリスの作家ラドヤード・キップリングの小説『少年キム(Kim)』(1901年)の主人公、キムに由来しています。
『少年キム』は、19世紀末のイギリス統治下のインドを舞台に、孤児の少年キムが冒険の末にスパイとしての訓練を受け、成長していく物語です。物語の中で、キムは秘密任務に就くために特別な訓練を受けることになります。その中には、一瞬で多くの情報を見て記憶する訓練があり、まさにこのゲームの原型となる「キムス・ゲーム」が登場します。
キムス・ゲームの基本的なルールは以下の通りです:
- 指導者や進行役が、15個未満の様々な物品(ナイフ、鍵、ペン、小石、本など)をトレイに並べ、布などで隠します。
- 参加者たちはトレイの前に座り、準備が整うのを待ちます。
- 「スタート」の合図とともに布が外され、1分間だけトレイの上の物品を観察します。
- 1分後、再び布で覆いをかけ、参加者たちは覚えている物品を紙に書き出すか、指導者に小声で伝えます。
- もっとも多く正確に物品を思い出せた人が勝者となります。
このゲームは、ボーイスカウト運動の創始者ロバート・ベーデン=パウエル卿によって「スカウティング・ゲームズ(Scouting Games)」という書籍で紹介され、以来、世界中のスカウト活動や教育現場で観察力訓練の一環として活用されてきました。
キムス・ゲームは、遊びながら注意深く物事を見る力と記憶する力を鍛えることができ、まさにキムが訓練で身につけたスパイ技術のような能力を育てるゲームと言えるでしょう。